初期脱毛2回目はなぜ起こる?そのメカニズム

AGA(男性型脱毛症)治療薬、特にミノキシジル外用薬や内服薬(ミノタブ)の使用を開始すると、治療初期に一時的に抜け毛が増える「初期脱毛」という現象が起こることが知られています。そして、稀ではありますが、この初期脱毛が「2回目」として再び起こるのではないかと心配される方もいます。初期脱毛が起こるメカニズムは、AGAによって乱れたヘアサイクル(毛周期)が、治療薬の効果によって正常化する過程で起こる現象と考えられています。AGAが進行すると、髪の毛の成長期が短縮され、十分に成長しないまま退行期・休止期へと移行し、細く短い毛が増えていきます。治療薬(特にミノキシジル)は、毛母細胞を活性化させ、休止期にある毛包を強制的に成長期へと移行させる働きがあります。この時、既に生えていた弱々しい古い髪の毛が、新しく力強く成長しようとする髪の毛に押し出される形で抜け落ちるため、一時的に抜け毛が増加するのです。これが初期脱毛の正体です。では、なぜ「2回目」の初期脱毛が起こり得るのでしょうか。いくつかの可能性が考えられます。一つは、治療薬の変更や用量の変更があった場合です。例えば、ミノキシジル外用薬の濃度を上げた場合や、内服薬の服用を開始した場合など、治療の強度や種類が変わることで、再びヘアサイクルに大きな変化が起こり、2回目の初期脱毛のような現象が起こることがあります。これは、新たな刺激に対して毛包が反応し、さらに多くの休止期毛が成長期へと移行しようとするために起こると考えられます。また、体調の変化や季節の変わり目などが、一時的な抜け毛の増加と重なり、2回目の初期脱毛のように感じられることもあります。人間の髪の毛は、常に一定量が自然に抜け落ちており、その量は体調や季節によっても変動します。治療薬の効果が安定してくるまでの間は、このような自然な抜け毛の増減と、治療によるヘアサイクルの変化が複雑に絡み合い、複数回の初期脱毛のような経験をすることがあるかもしれません。ただし、初期脱毛は通常、治療開始後数週間から2ヶ月程度で始まり、1ヶ月から2ヶ月程度で落ち着くのが一般的です。もし、長期間にわたって抜け毛が多い状態が続く場合や、2回目の初期脱毛と思われる現象が心配な場合は、自己判断せずに必ず処方医に相談するようにしてください。