AGAの進行パターンには人種による傾向の違いがあることが知られています。世界的に用いられるハミルトンノーウッド分類は欧米人を基準に作られていますが私たちアジア人の薄毛には少し異なる特徴が見られることが研究で明らかになっています。欧米人では生え際が明確に後退していくパターンが多いのに対しアジア人では生え際の位置は変わらないまま前頭部から頭頂部にかけての範囲で全体的に髪の密度が低下していくパターンが多く見られます。これを「びまん性」に近い進行と表現することもあり明確な境界線がないため初期段階での判定が難しいという特徴があります。また頭頂部を中心に円形に薄くなる「バーテックス型」と呼ばれるタイプもアジア人には頻繁に見られます。これはO型分類に相当しますが欧米人に比べてその発生頻度が高いと言われています。アジア人の髪は一本一本が太く直毛であることが多いため密度が少し低下しただけでも地肌の透け感が目立ちやすいという視覚的な特徴もあります。黒髪と地肌の色のコントラストが強いため少しの薄毛でも気になりやすいという点はアジア人特有の悩みと言えるかもしれません。このような特徴を踏まえて日本では独自の分類法や診断基準を補助的に用いることが一般的です。アジア人に多いこれらのパターンは従来の分類法だけに頼ると進行度を過小評価してしまうリスクがあります。生え際が後退していないから大丈夫だと思い込んでいるうちに頭頂部や全体のボリュームダウンが進行してしまうケースです。そのため日本人を含むアジア人の場合は生え際の位置だけでなく髪の分け目が広がっていないか全体のボリュームが減っていないかといった点に注意を払う必要があります。自分の人種的特徴を理解した上で適切な観察眼を持つことが誤った自己診断を防ぎ正しい対策へと導いてくれるはずです。