AGA治療において皮膚科医が果たす最も重要な役割は正確な鑑別診断にあります。薄毛や抜け毛の原因は男性ホルモンの影響によるAGAだけではありません。ストレスによる円形脱毛症や頭皮の常在菌バランスが崩れることによる脂漏性皮膚炎あるいは甲状腺疾患や膠原病といった内科的な病気が原因で脱毛が引き起こされている可能性も否定できません。もし自己判断でAGAだと思い込みインターネットで購入した薬を使用し続けていたとしても原因が別にあれば効果がないばかりか症状を悪化させてしまう危険性すらあります。皮膚科医は皮膚の専門家としての知見を活かし頭皮の状態を詳細に観察し必要であれば血液検査や皮膚生検などを行うことで脱毛の真の原因を突き止めます。これは薄毛治療の入り口において最も基本的かつ重要なプロセスです。また皮膚科医はAGA治療薬の使用に伴う副作用の管理においても重要な役割を担っています。フィナステリドやデュタステリドといった内服薬は肝機能障害や性機能障害といった副作用を引き起こす可能性がわずかながら存在します。またミノキシジルの外用薬は頭皮のかぶれや湿疹を引き起こすことがあります。一般の個人輸入などで薬を入手して使用している場合こうしたトラブルが起きても自己責任となってしまい適切な処置が遅れることがあります。しかし皮膚科で処方を受けていれば万が一頭皮にトラブルが生じたり体調に異変を感じたりした際に即座に専門的な治療を受けることができます。皮膚科医は髪を生やすことだけでなく頭皮環境を健やかに保ち患者の全身の健康を守りながら安全に治療を継続できるようサポートする番人とも言える存在です。さらに皮膚科医は最新の医学的エビデンスに基づいた標準治療を提供する立場にあります。日本皮膚科学会が策定している「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」という指針があり皮膚科医はこのガイドラインで推奨度が高いとされている治療法を優先的に提案します。