「抜け毛予防もしたいし、新しい髪も生やしたい。それなら、育毛剤と発毛剤を両方使えば、最強なのでは?」そんなふうに考える方もいるかもしれません。しかし、この二つの併用は、期待する効果が得られないばかりか、かえって頭皮に負担をかけてしまう可能性があり、基本的には推奨されません。その最大の理由は、頭皮への「過剰な刺激」と「成分の干渉」です。育毛剤も発毛剤も、アルコール(エタノール)を基剤として含む製品が多く、有効成分を頭皮に浸透しやすくする役割を担っています。しかし、このアルコールは頭皮を乾燥させたり、刺激を与えたりする可能性があります。二つの製品を同時に使用すると、アルコールの量も倍になり、頭皮が乾燥しすぎてかゆみや炎症を引き起こすリスクが高まります。また、それぞれの製品に含まれる多種多様な成分が、頭皮上で混ざり合うことで、互いの浸透を妨げたり、予期せぬ化学反応を起こして肌トラブルの原因になったりする可能性もゼロではありません。特に、発毛剤の有効成分であるミノキシジルは、デリケートな医薬品成分です。その効果を最大限に発揮するためには、他の余計な成分に邪魔されず、清潔な頭皮に単独で使用することが望ましいとされています。では、どうしても併用したい場合はどうすれば良いのでしょうか。もし、AGA治療薬(内服薬)と併用して頭皮環境を整えたい、という目的であれば、医師の指導のもとで、頭皮に優しい保湿成分主体の育毛剤(あるいは頭皮用美容液)を選ぶという選択肢は考えられます。しかし、市販の育毛剤と発毛剤を自己判断で併用することは、リスクの方が大きいと言わざるを得ません。まずは、自分の悩みのステージに合わせ、どちらか一方に絞って、その製品の用法・用量を正しく守って使用すること。それが、安全かつ効果的なヘアケアの基本です。
育毛剤と発毛剤併用は可能か?その効果と注意点