気になる薄毛の原因とは

2022年6月
  • AGA治療のガイドラインと推奨される治療法

    AGA

    日本皮膚科学会などが作成するAGA(男性型脱毛症)ガイドラインでは、様々な治療法について、その有効性や安全性に関する科学的根拠(エビデンス)に基づいた推奨度が示されています。ここでは、ガイドラインで高い推奨度を得ている代表的な治療法について解説します。まず、内服薬として推奨度A(行うよう強く勧める)に位置づけられているのが、「フィナステリド」と「デュタステリド」です。これらは5αリダクターゼ阻害薬と呼ばれ、AGAの主な原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制する働きがあります。フィナステリドは、主にⅡ型の5αリダクターゼを阻害し、デュタステリドはⅠ型とⅡ型の両方を阻害するため、デュタステリドの方がより強力なDHT抑制効果が期待されます。これらの内服薬は、抜け毛を減らし、毛髪の成長期を延長させることで、薄毛の進行を抑制し、毛髪の太さや密度を改善する効果が多くの臨床試験で確認されています。ただし、効果を実感するまでには数ヶ月以上の継続服用が必要であり、副作用(性機能障害、肝機能障害など)のリスクも伴うため、医師の処方と指導のもとで正しく使用することが不可欠です。次に、外用薬として推奨度Aに位置づけられているのが、「ミノキシジル」です。ミノキシジルは頭皮に直接塗布することで、毛母細胞を活性化させ、血行を促進し、発毛を促す効果があります。市販薬としても入手可能ですが、クリニックではより高濃度のものが処方されることもあります。内服薬と併用されることも多く、相乗効果が期待できます。副作用としては、頭皮のかゆみや発疹などが報告されています。また、「自毛植毛術」も、ガイドラインでは推奨度B(行うよう勧める)とされています。これは、後頭部などのAGAの影響を受けにくい部位から自身の毛髪を毛包ごと採取し、薄毛の気になる部分に移植する外科手術です。移植した毛髪は生着すれば、その後も自分の髪として生え変わり続けることが期待できます。薬物療法で十分な効果が得られない場合や、より確実な見た目の改善を望む場合に選択肢となります。これらの治療法以外にも、LEDや低出力レーザー照射といった光治療なども、今後のエビデンスの蓄積が期待される治療法として言及されています。AGA治療では、ガイドラインに基づいた治療法を理解し、専門医と相談して自分に合った方法を選ぶことが重要です。

  • 家庭用低出力レーザーAGAへの期待と注意

    かつら

    近年、自宅で手軽にAGA(男性型脱毛症)対策ができるとして、家庭用の低出力レーザー(LLLT)機器が人気を集めています。ヘルメット型やキャップ型、クシ型など様々な製品が登場しており、医療機関に通う手間や費用を抑えたい方にとって魅力的な選択肢となっています。しかし、家庭用機器の効果や安全性については、いくつかの注意点も理解しておく必要があります。家庭用低出力レーザー機器に期待できる効果は、医療機関で使用される機器と同様に、毛母細胞の活性化や頭皮の血行促進による発毛サポートです。特定の波長のレーザー光が頭皮に作用し、毛髪の成長期を延長させたり、休止期から成長期への移行を促したりすることで、抜け毛の減少や髪のボリュームアップが期待されます。毎日自宅で手軽にケアできるため、継続しやすいというメリットもあります。ただし、家庭用機器は、安全性を考慮して、医療機関で使用される専門的な機器よりもレーザーの出力が低めに設定されていることが一般的です。そのため、医療機関での治療と同等の効果が得られるとは限りません。効果を実感するまでには、より長期間の使用が必要となる場合や、効果の程度が緩やかである可能性も考慮しておく必要があります。また、家庭用機器を選ぶ際には、その製品が信頼できるものかどうかを見極めることが重要です。医療機器として認証を受けている製品や、安全性や効果に関する第三者機関の評価がある製品を選ぶようにしましょう。安価すぎる製品や、効果を過剰に謳っている製品には注意が必要です。使用方法を守ることも大切です。取扱説明書をよく読み、推奨される使用頻度や時間を守るようにしましょう。自己判断で過度に使用しても、効果が高まるわけではなく、かえって頭皮に負担をかける可能性があります。そして最も重要なのは、家庭用低出力レーザー機器は、AGAの根本的な治療法ではないということです。AGAは進行性の脱毛症であり、その原因は遺伝やホルモンの影響が大きいため、機器の使用だけで完治することはありません。もし、薄毛が進行している場合や、原因がはっきりしない場合は、まずは専門医に相談し、正確な診断と適切な治療法についてアドバイスを受けることが先決です。家庭用機器は、あくまでAGA治療の補助的な手段、あるいは軽度の薄毛対策として、医師の指導と併せて活用するのが望ましいでしょう。