気になる薄毛の原因とは

2019年8月
  • AGAガイドラインと自毛植毛の推奨度

    円形脱毛症

    AGA(男性型脱毛症)の治療法として、薬物療法と並んで検討されるのが「自毛植毛術」です。日本皮膚科学会などが作成するAGAガイドラインでは、自毛植毛術は推奨度B(行うよう勧める)と位置づけられており、一定の有効性と安全性が認められている治療法です。自毛植毛術とは、AGAの影響を受けにくい後頭部や側頭部から、自分自身の毛髪を毛包ごと(毛根を包む組織ごと)採取し、薄毛の気になる前頭部や頭頂部などに移植する外科的な手術です。移植された毛髪は、元の部位の性質を引き継ぐため、生着すればその後も自分の髪として成長し、生え変わり続けることが期待できます。この点が、かつらや増毛とは異なる大きな特徴であり、より自然な見た目と永続的な効果を求める方にとって魅力的な選択肢となります。ガイドラインで自毛植毛術が推奨度Bとされている背景には、多くの臨床研究や症例報告によって、その有効性が示されていることがあります。特に、薬物療法(フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルなど)で十分な効果が得られなかった場合や、薄毛が広範囲に進行している場合、あるいはより確実な見た目の改善を希望する場合などに、有効な治療法として考慮されます。自毛植毛術の主な手法には、「FUT法(ストリップ法)」と「FUE法」があります。FUT法は、後頭部の頭皮を帯状に切除し、そこから毛包を株分けして移植する方法で、一度に多くの毛髪を移植できるメリットがあります。一方、FUE法は、専用のパンチを使って毛包を一つ一つ採取し、移植する方法で、線状の傷跡が残りにくいのが特徴です。どちらの手法を選択するかは、患者さんの状態や希望、医師の技術などによって決定されます。ただし、自毛植毛術は外科手術であるため、いくつかの注意点も理解しておく必要があります。まず、費用が高額になる傾向があり、保険適用外の自由診療となります。また、手術後には一時的な腫れや痛み、かさぶたなどのダウンタイムがあります。そして、移植した毛髪が全て生着するとは限らず、生着率には個人差があります。ガイドラインは、自毛植毛術を検討する際に、そのメリットとデメリット、リスクなどを十分に理解し、経験豊富で信頼できる専門医のもとで施術を受けることの重要性も示唆しています。

  • 初期脱毛2回目と治療効果の関連性

    AGA

    AGA治療中に2回目の初期脱毛のような現象が起こった場合、それは治療効果とどのように関連しているのでしょうか。また、2回目の初期脱毛があると、最終的な治療効果は高まるのでしょうか。まず、2回目の初期脱毛が起こる主な原因として考えられるのは、治療薬の種類や用量の変更、特に治療の強度を高めた場合です。例えば、ミノキシジル外用薬の濃度を上げた、あるいは内服薬(フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルタブレットなど)を新たに追加・変更した場合などです。これらの変更は、毛包に対してより強い刺激や作用をもたらし、休止期にあった毛髪を成長期へと移行させる働きを強めます。その結果、既存の弱った毛髪が押し出される形で抜け落ち、一時的に抜け毛が増えるという、2回目の初期脱毛に近い状態が起こり得ます。この場合、2回目の初期脱毛は、治療薬がしっかりと毛包に作用し、ヘアサイクルに新たな変化をもたらしている証拠と捉えることができます。つまり、治療が順調に進んでいる、あるいはより効果的な治療段階に入ったサインである可能性が高いのです。古い毛が抜け落ちることで、その後に新しく、より太く健康な髪が生えてくるためのスペースが作られると考えることもできます。したがって、2回目の初期脱毛があったからといって、必ずしも治療効果が低いというわけではなく、むしろ、その後のより顕著な発毛効果に繋がる前段階である可能性も十分に考えられます。ただし、2回目の初期脱毛が必ずしもより高い治療効果を保証するものではありません。治療効果には個人差が大きく、遺伝的要因、AGAの進行度、生活習慣など、様々な要因が複雑に絡み合っています。また、抜け毛の増加が長期間続く場合や、他に体調不良などがある場合は、初期脱毛ではなく、別の原因も考えられるため、注意が必要です。重要なのは、2回目の初期脱毛と思われる現象が起きた場合でも、自己判断せずに、まずは処方医に相談することです。医師は、その抜け毛が治療過程における正常な反応なのか、それとも何らかの対処が必要な状態なのかを的確に判断し、今後の治療方針について適切なアドバイスをしてくれます。治療効果を信じ、医師との連携を密にしながら、根気強く治療を続けていくことが大切です。